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きりしたん算用記/遠藤寛子

『また変なことやってる』
家人のあきれた顔をなるべく見ないようにして、私はこの本を自宅のプリンタでコピーしていた。
なにしろこの本の存在を知った時は絶版となっていて(最近文庫になって復刊したようだ)秋田県内の図書館にも蔵書はなかったのでお隣の岩手県の盛岡市の図書館から取り寄せてもらったのだ。

表紙から全ページをコピーしてでも手元に置いておきたい本にはめったに出会えない。
それだけの価値を私はこの本に見いだしたのだ。

遠藤寛子さんの温もりのある文章が好きだ。
この『きりしたん算用記』も遠藤さんの子供に対する温かいまなざしを感じる本である。
中村秀明さんの挿絵も遠藤さんの志を汲んだ素晴らしい絵である。
最近復刊になった本の表紙は中村さんの絵ではなくなっていた。
時代とともに変わらなければいけないことはある。
だが変えてはいけないこともあるような気がする。
この本の表紙は中村さんの絵でなければならないと私は思う。

私の好きな本はもはや絶版になっているものが多い。
良い本は装丁から書体にいたるまで本に関わるすべてのことが一つの哲学で貫かれている事。
売れる事を最優先するのではなく、読み手に伝えたい魂が籠っている本。
そんな本が好きだ。
そんな本が少なくなっていることが哀しい。
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by maco4459 | 2013-01-25 13:18 | 読書日記

心花(ときめき)の勘違い

心花と書いて『ときめき』と読ませることがあるそうだ。
文字通り心に紅い薔薇のような花が咲くこと。
そんな出来事が生きていると稀にはある。

10年くらい前だったと思う。
秋田大学に櫻井よしこさんが講演に来ることを知り、それこそ心をときめかせて行った。
櫻井さんは今も昔も私の憧れの人である。

真っ黒なスーツに身を包み、胸には紅い薔薇を挿して颯爽と登壇した櫻井さん。
講演の内容は今になってはすっかり忘却の彼方だ。

1時間くらいの講演がおわり、
質疑に移ると日教祖の関係とおぼしき人物が教科書検定の問題について執拗に意地の悪い質問をはじめた。
櫻井さんは一瞬『またか』という表情をしたが、それでも丁寧にかつ淡々と受け答えていた。
次に『私、昔から櫻井さんのファンなんです!』という若い女性が声を震わせて席を立った。

係りの人が『もうそろそろお時間ですので』と終わりをアナウンスした。
その時だった。
櫻井さんは『そうですね〜若い男性の方から何かお聞きしたいですね』とにっこり微笑み会場を見渡した。
そして私と視線があった。
30秒ぐらい目と目のやりとりが続いた。
私に質問を促してくださったのだろうか?
大いなる勘違いか?

手を挙げて発言する勇気はなかった。
せっかく櫻井さんとお話しできるチャンスだったかもしれないのに。

櫻井さんが私を見ていたのか、それは謎だ。
でもこんな勘違いはなんだか思い出してもほのぼのとするのである。
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by maco4459 | 2013-01-16 23:39 | 随想