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アヤメ/ヘルマン・ヘッセ

『イリスさん』
と彼は彼女に言った。

『愛しいイリスさん、この世がもっと別な仕組みになっているといいんですが。花と思想と音楽とを恵まれた、あなたの美しいなごやかな世界しかないのでしたら、ぼくは、終生あなたのそばにおり、あなたの物語を聞き、あなたの思いのうちに共に生きることよりほか、何も願おうとしないでしょう。あなたの名前がすでにぼくには快いのです。イリスは素晴らしい名前です。その名がぼくに何を思い起こさせるのか、見当がつきませんが』

『ご存知じゃありませんか』
と彼女は言った。

『青や黄のアヤメがイリスっていう名であることを』 

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by maco4459 | 2008-12-15 00:11 | 読書日記
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