<< 織部鉢皿/自作 カフェオレボウル/丸山陶李 >>

ぐい呑み/藤田長夫

4年前、信楽に陶房めぐりの旅をした。
午後にホテルに着いて、夕食をどうしようかと思案した。
疲れているのでホテルで済ませるか、それとも外に出るか。

迷ったあげく、せっかく来たんだし、外でうまいもんでも喰うかと決めた。
店は当地で有名な割烹料理店『魚仙』にした。
この何気ない選択が so amazing な synchronicity を私にもたらした。

魚仙の大将の林田さんは陶芸雑誌にも度々登場するほどの無類のやきもの好きで、
『布団の中で抱いて寝たい』ほどに自らのやきものコレクションを愛してやまない方だった。

お店で使われている器はほとんど大将が選んだもので、ギャラリーですまし顔で鎮座している器とちがい、
料理や酒を盛られた器はまるで命を吹き込まれたかのように、生き生きと私の眼に魅力的に映った。

その器の中で、私が最も気に入ったのが藤田さんの作品だった。

魚仙の料理はどれも素晴らしく美味しかった。
大将は京都で修行をされたのだが、鮨の技術を極めるために東京にも通われたそうだ。

その鮨の味が忘れられなくて、私は次の日の昼食も魚仙に行って、大将に甘鯛の握りを頼んだ。
それほど美味しかったのだ。

大将は帰りかけに、
『本当は手放したくないんですけど、遠方から来られて、藤田さんの器を好きになってくれて、私もうれしいので、これ持って帰ってください』
と藤田さんの、このぐい呑みを私に譲ってくださったのだった。
e0161650_13443998.jpg

[PR]
by maco4459 | 2008-12-06 13:42 | 陶芸
<< 織部鉢皿/自作 カフェオレボウル/丸山陶李 >>