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半泥子の茶碗

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数ある半泥子の茶碗の中で私が最も好きなのがこの粉吹茶碗『雪の曙』である。
茶陶には轆轤目、見込み、口縁、高台などに約束事がある。
しかし天衣無縫な半泥子はその囚われを放逸し自由に羽ばたく。

半泥子にとって約束事をきちっと守って作ることはそれほど難しいことではなかっただろう。
それだけの技術は持ち合わせていたからだ。
しかし彼はあえてそれをしなかった。

この茶碗を実際に手にとった千早耿一郎氏はそのときの感想を語る。
『この茶碗を手にして、わたくしはほとんど涙を流さんばかりの思いだった。一見不細工であるにもかかわらず、その茶碗からは、ほのぼのとした何かが立ち上っていた。深い見込み、その深さから立ち上る清冽なもの。あけぼの色のそれを霧と呼ぶべきか、霞と呼ぶべきか。いや、それは精神である、精神と呼ぶべきものである。その精神がわたくしを捉えて離さなかった(中略)わたくしは魂の内奥で茶を喫したのである。深い感動の茶を』
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by maco4459 | 2009-07-22 11:28 | 川喜田半泥子
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