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漂泊の俳人・一字庵菊舎

一字庵菊舎は江戸後期の俳人。
姓は田上。
長府藩士の長女として生まれる。
夫と死別したのち、出家して俳諧の旅に出る。
音曲・茶・書画にも通じ、詩作は長崎に逗留した際に学んだ。

菊舎尼が漢詩の道に入るのは、寛政八年の初夏、長崎に遊んださいに、通辞の平野栖梧に華音を学んだ時にはじまる。

しかしそれから間もなく口吟された菊舎尼の漢詩をみるかぎり、素人の域をこえている。
当事の士族の家に育ったのだから、漢詩文の素養がすでに培われていたとしても、少しもおかしくはない。
それほどの出来映えであった。

おそらくは平野栖梧の紹介があってのことと思われるが、菊舎尼は長崎の唐人村に住む儒者の蔣菱舟と知り合い、二人して琴の譜について語り合うことになる。
そのとき、菊舎尼の口吟した漢詩一首が「余長崎に在りて、春日、清人蔣菱舟に贈る」
と題した七言絶句である。

 高士相逢翰墨林
 春風携手杏林深
 幽淡坐久論琴譜
 始聴央央中土音

この七絶について、『千代菊と菊舎尼』の著者、山中六彦氏は「いかに秀才であったにせよ、昨日学べば今日はもう本場の外人と応酬するという天真爛漫にして大胆な態度は、誰人も驚嘆の外あるまい。これは畢竟、行脚によっての修行と、俳道による洒脱とがかれの天ぴんをますます光輝あらしめたと思える」と絶賛している。 

菊舎尼は、長崎滞在中にもう一人の清国人の知己を得ている。
当時、通商のために来航していた費晴湖がその人である。

費晴湖はただの通商人ではなかった。
漢詩人であり、とりわけ画家として知られ、当時の清国で四大画家と称されていた。

費晴湖は、菊舎尼と逢って、彼女の高尚な性格、その七紘琴、その漢詩の優れた才能を知って、
これを奇として、菊舎尼に漢詩を寄せ、あわせてその序文を書き与えている。
その序文はこうである。

 酉辰の歳、長崎に客游した際に、長門の国の女性で菊舎なる人があることを聞知した。
 彼女は善く七紘を奏で、かねて漢詩にもたくみであった。
 その志は高尚で、独り七紘琴をたずさえて日本諸国を清遊し、あまねく名山景勝の地を訪ねている。
 その心は広やかで物事にこだわりがなく、淡々として栄利に心を向けることはなかった。
 爵位をもってその志を屈服させることも、財利でもってその心を動かすこともできなかった。
 世俗の外にあって、飄然と生きるさまは閑かなる雲、野に放たれた鶴のようで、一定の在所を持つことはなかった。
 昔の人は「帰真反璞」という言葉で、いつわりのない本来の姿に戻ることができれば、終身辱めを受けないですむと言っているが、そういう生き方のできる人は、士君子でもなお求めがたいのに、まして女性においてはなおさらである。
 しかも彼女はすっきりと清らかであるのだから、まことに古来稀なる人物である。

このように絶賛したあとに、費晴湖は菊舎尼のたのみに応じて、自分が贈った詩とこの序文を、菊舎尼の琴衣に書き入れたということばがきを遺している。

菊舎尼はこの費晴湖の詩文がよほど嬉しく気に入ったとみえ、後年、自分の墓所と定めた長府の徳応寺に自然石の句碑を建てた際に、その碑面の裏に、費晴湖の詩と序を刻している。
その句碑は、
 
 雲となる 花の父母なり 春の雨

とある。
すでにこの世を去っていた父母を供養するには、十分に美しい句であった。 

                                参考『漢詩のこころ』林田慎之助著
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by maco4459 | 2008-11-30 23:58 | 歴史 | Comments(0)

The Best Of Me/DAVID FOSTER & ORIVIA NEWTON JOHN

澄んだ水のように清らかなデヴィッド・フォスターの美しい旋律にオリビアの情感溢れるヴォーカルがよく似合う。
My favorite song の一つだ。060.gif
英語の文法など無視してインスピレーションのおもむくままに意訳してみよう。

So many years ago     
Still I remember         
How did I ever         
Let my heart believe      
In one who never        
Gave enough to me       

And so many years ago
Love thath was so wrong
I can't forget the way
It used to be
And how you changed the
taste
of love for me

You were my one more chance
I never thought I'd find
You were the one romance
I've always known in my mind
No one will ever touch me
more
And I only hope that in return
I might have saved the best of
me
For you

And we'll have no ending
If we can hold on
And I think I've gone this far
Because of you
Could be no other love but
ours
Will do

No one will ever touch me
more
And I only hope that in return
No matter how much we have
to lean
I saved the best of me for you


もう ずっと 前のことなのに
瞳を閉じると まるで昨日のことのように思い出す
見返りを求めることもなく
限りなく深い愛を 僕に捧げてくれた
あの人のことを

まだ若かったとき
僕は愛など信じていなかった

そんな僕に彼女は魔法をかけて
本当の愛の世界を見せてくれた
かけがえのない至上の世界を

君は僕が探しても決して見つけることができなかったものを
見せてくれた

君は今でも僕の心の中の永遠の恋人
誰も僕から君を奪うことはできないよ

君のためだけに僕のとっておきの愛を捧げよう

もし二人がもう一度
出逢い
抱きしめ合うことができたなら
僕は君をもう二度と離さないよ

ここから遠い星の世界へと旅立って
君だけに愛を捧げよう

誰も僕から君を奪うことはできないよ
君だけに僕のとっておきの愛を捧げよう

You Tubeの映像はこちら
ソロヴァージョンはこちら
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by maco4459 | 2008-11-27 20:26 | 音楽 | Comments(0)

ぐい呑み/加藤隆彦

4年前、信楽を訪れたとき記念に購入。
はじめショーケースで目を惹いたのは松灰の緑の玉垂れがあるぐい呑だった。
『お客さんは、いずれこちらの方が好きになると思いますよ』
と店主の方に言われて、すすめられたのがこのぐい呑み。
迷ったあげくに2つとも購入した。
今考えると贅沢な買い物をしたものだ。
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店主の方の予想どおり最初に選んだぐい呑みは、すぐに飽きてしまってオークション
に出してしまった。
恐るべし慧眼。
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by maco4459 | 2008-11-24 23:20 | 陶芸 | Comments(0)

則天去私

夏目漱石の『こころ』が高校の現代国語の教科書に載っていたのを覚えている。
当時はこの小説の何がいいのか、そして何故この作者がが日本を代表する文豪として高く評価されているのか、さっぱり理解出来なかった。

それもそのはず、高校時代の私は西洋文学にどっぷりとはまっていたからだ。
トルストイの『復活』、モームの『人間の絆』、ホーソンの『緋文字』、ディケンズの『デヴィッド・コパーフィールド』、 ブロンテの『ジェイン・エア』・・・etc

日本文学には全く興味がなかった。というかどこか辛気くさいイメージがあって敬遠していたのだ。

今、思うと喰わず嫌いだったのかも知れない。

漱石を読み始めたのはここ3、4年前のことだ。
『坊ちゃん』から読み始めて、『草枕』、『私の個人主義』、『こころ』、『明暗』、『それから』、『三四郎』、『門』、 『彼岸過迄』、『行人』、『道草』、『夢十話』・・ほとんど読んだ。

日本人に生まれてよかったと思った。
日本語の持つ音の美しさを見事に表現している。
ことば一つ一つをあたかも音譜のように巧みに配置し、流麗な旋律として紡ぎだしている。
漱石の文学は音楽なのである。
『草枕』では特にその印象を深くする。

漱石の文学はエゴイズムの文学と評される事が多い。
主人公の自我をそれこそエックス 線で照射するかのように浮き彫りにする筆致を評してのものだろう。

しかしながら、漱石本人は他者には温容で細やかな心遣いのできる優しい人だった。
反面、自分にはあまりに厳しく内省的だったため晩年は胃潰瘍を患う。
エゴイズムに苦しんだのは漱石本人であったのだ。

もがき苦しむような自我との格闘の中で到達した境地が『則天去私』だった。
弟子であった安倍能成は則天去私を『私を去って天に則り、現前の事々物々に円転滑脱に応酬すること』と解釈した。
漱石は安倍に対して『今自分の前に急に自分の娘が一ツ目小僧になって現れてきても驚かないような心境になりたい』と語ったという。



即天去私について 武者小路実篤あての書簡   大正四年六月十五日

文芸評論をよんでくださった由、ありがとう。
道草もよんでくださるようで感謝いたします。

お手紙を拝見いたしました。私はたしかにあの文章を見ました。
しかし少しも気になりませんでした。
それは自分のものでないからかもしれませんが、ああいうところへ出るものは好い加減な出鱈目に近いことが多いというのが大理由かと思います。

しかし間違いはだれしも嬉しくはありません。
ことにあなたのような正直な人から見れば厭でしょう。
それを神経質だといって笑うのは、そのうちにある正しい気性を理会し得ないスレッカラシのいうことです。
私はあなたに同情します。

けれども、私はあの記事を取り消させるだけの権力は持ちません。
あれを書いたものおよび編輯者はたといそれが誤謬だと知っても、わざわざ取り消すにはあまりに小さすぎるという考えで、ごたごたしたほかの雑事に頭を使うことだとうと思います。

この際、私のあなたのためにできることはあの手紙を社に送ってあなたの趣意を了解させたうえ、あとの処置はあちらの適宜にまかせるということだけのように思われます。
私はあなたのためにそれだけの手続きを尽くします。
私はこれからあなたの手紙を社会部長の山本松之助君まで送って、よろしく頼むと言ってやります。

私もあなたと同じ性格があるので、こんなことによく気を腐らせたりしました。
しかし、こんなことはいつまで経っても続々出てきて際限がないので、近ごろはできるだけこれらを超越する工夫をしております。

私はずいぶん人から悪口やら誹謗を受けました。
しかし私は黙然としていました。
猫を書いたら多くの人は翻案か、または方々から盗んだものを並べ立てたのだと解釈しました。
そんな主意を発表したのさえあります。

武者小路さん、気に入らないこと、癪に障ること、憤慨すべきことは塵芥のごとくたくさんあります。
それを清めることは、人間の力ではできません。
それと戦うよりもそれをゆるすことが人間として立派なものならば、できるだけそちらのうほうの修養をお互いにしたいと思いますがどうでしょう。

私は年に合わせて気の若いほうですが、近来ようやくそっちの方角に足を向けだしました。
時勢は私よりも先に立っています。
あなたがそちらへ眼をつけるようになるのは今の私よりもずっと若い時分のことだろうと信じます。
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by maco4459 | 2008-11-24 00:21 | 読書日記 | Comments(0)

そば工房 ゆりの木

昨日の昼は家族で御所野地蔵田にある『そば工房 ゆりの木』で蕎麦を食した。

福井から取り寄せた玄蕎麦の自家製蕎麦とのこと。

満足の味だった。(^^) ♪
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by maco4459 | 2008-11-23 17:14 | 蕎麦 | Comments(0)

雪の予報

水曜日から本格的に雪が降ると天気予報が告げていた。

まだタイヤ交換していない。

ど〜しよう!008.gif
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by maco4459 | 2008-11-17 23:06 | 日々のこと | Comments(0)

ベートーベン ピアノソナタ 月光

数年前までピアノを習っていた。

幼稚園や小学生の坊ちゃんやお嬢さんに混じって発表会にも出た。
当時の先生に勧められてベートーベンのピアノソナタ月光第一楽章を演奏した。
第一楽章は夜、静かな湖面に映った月をイメージさせる静かで幻想的な曲だ。


『月光の夏』という邦画がある。
太平洋戦争末期の知覧特攻隊飛行場から、まさに明日、出撃せんとする主人公の特攻隊員
は東京芸大のピアノ科の学生。

今生の最後にと基地を抜け出し、近くの小学校においてあったピアノを弾く。
それがこの曲。

主人公が弾く第3楽章を聴いたとき、全身に衝撃が走った。
人間業とは思えない打鍵の早さ。
哀愁をたたえながら、熱情が奔流となってほとばしる旋律。060.gif

この曲を弾き終えた主人公は真夜中を線路づたいに基地に戻り、翌日太平洋に露と散る。

最近YouTubeでウイルヘルム・ケンプのプレイを観た。
こちらもすごい。
いかにもドイツ人らしい正確無比で堅実な運指。
紡ぎだされる音楽には気品と誇りが漂っている。
正真正銘のホンモノだ。
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by maco4459 | 2008-11-16 21:11 | 音楽 | Comments(0)

灯油窯再生計画

数年前、知人から頂いた楽焼用の灯油窯。
時間はかかると思うが再生させることにした。

パイロメーターや灯油タンクなど周辺機器はこれからそろえることとして、まずは
掃除からはじめるか。

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by maco4459 | 2008-11-15 18:10 | 陶芸 | Comments(0)

Into the wild

ひさしぶりに映画を観た。
アラスカに行きたくなった。014.gif
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by maco4459 | 2008-11-15 13:31 | 日々のこと | Comments(0)

城下の人/石光真清

櫻井よしこのブログで紹介されていたので、図書館で借りてきて読み始めている。
とても読みやすい文体で書かれているので、読んでいてページが進む。
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司馬遼太郎の『坂の上の雲』も同時代について書かれものだが、こちらは途中で挫折したため完読していない。
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by maco4459 | 2008-11-15 01:20 | 読書日記 | Comments(0)