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初春の茶席

一昨年の12月23日に丸山陶李先生から
「キリシタン大名・ユスト高山右近帰天四百年記念茶事」にお招きいただいた。
先生からお預かりしている井戸茶碗「俄羅奢」で先生自らお茶を立てていただくという僥倖であった。
茶事が終わり、俄羅奢を手にしながら先生が私に『どうぞたくさん使ってあげてくださいね』
とおっしゃった言葉がずっと心に残っていた。

顔の広い秋田キリシタン史研究会の熊谷会長に秋田市内で茶道をされている方を
ご存知ありませんかと、お尋ねしたところ遠州流土崎支部の鎌田宗光先生を紹介してくださった。

話はトントン拍子に進み、熊谷会長と私で鎌田先生のお宅に伺い、俄羅奢でお茶を立てていただいた。
鎌田先生はご高齢なのだが矍鑠としたご婦人であった。
所作の折々に対象を見つめる眼光は鋭く、永年研鑽を積んできた人に見られる凛とした空気感があった。

俄羅奢を手にした鎌田先生はまず見込みを俯瞰した後、高台周りの梅花皮を凝視して指で撫でると、今度はふんわりと茶碗を包み込むように持ち上げ
『このお茶碗は良いですねえ。使えば使うほど良くなりますよ』とおっしゃった。

その場には先生のお弟子さんもいらっしゃったのだが、桐箱に書かれた陶李先生の俄羅奢の箱書きの文字や仕覆の出来栄えにも感心していた。
『茶碗を作るところから全部、丸山先生一人のお仕事なのですよ』と私が言うと、
『すごい・・・』と驚いておられた。

今年は俄羅奢を箱入り娘にせず、良い空気、良い水を吸わせてあげよう。
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by maco4459 | 2017-01-23 00:37 | Comments(0)

Bright Ones,Dark Ones

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ブルース・ヒューバナー(尺八)&ジョナサン・カッツ(ピアノ)のジャズライブに行ってきました。

尺八を外国人が吹く、しかもジャズを演る、最初はイロモノ系かと思いました。
しかし正真正銘の正当派でした。

ブルースはカリフォルニア出身で東京芸大邦楽科を首席で卒業。
もともとバックグラウンドはフルート奏者だったそうですが、家の近所のロサンゼルス・カウンティ・ミュージアムで
尺八の演奏を初めて観る機会があり、その魅力に取り憑かれ、本格的に奏法を学ぶために日本に来たのだそうです。

尺八と聞いて、先日の東北大の石田教授の話で思い出したことがあります。
自然現象に学ぶ癒しの技術として森の中で感じる音には可聴域を超えた高周波成分が含まれている。
脳だけでなく体全体で音を吸収することで脳が活性化され安らぎを感じる効果(ハイパーソニックエフェクト)を得ることができる。
このハイパーソニックエフェクトを産み出すことができる楽器は、尺八、チェンバロ、和太鼓なのだそうです。
そう、まさに尺八です。

今回のツアータイトル『Bright Ones,Dark Ones』は虚無僧の尺八の別称である明暗尺八にインスパイアされたものだそうです。
明暗といえば物理学の巨星デイヴィッド・ボームの明在系と暗在系の理論をも想起され、深い意味を込めてつけられたツアータイトルなのでしょう。

ブルースの吹く尺八はもはや日本の楽器という枠を超えていました。
それほどまでに違和感なくジャズと融合していたのです。

そしてジョナサン・カッツ。
彼を知ることができたことは大きな喜びでした。
私はブルースの尺八に興味をそそられてこの日のライブに足を運んだのです。
ピアノのジョナサンはセカンドマンとしての役割なのだとてっきり思っていました。
しかし、それは思い違いでした。

NY出身のジョナサンの音の選び方、間の取り方は知的でエレガントでアイロニカルなスパイスの効いた極めて上質なレベル。
隣の席の紳士の『音の選び方が洗練されているんだよな〜』というつぶやきが聞こえてくるほどでした。。

ブルースとジョナサンの2つの個性がケミカライズした、とっても見応えのあるライブでした。
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by maco4459 | 2011-02-24 21:02 | Comments(0)

アケタな夜

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今、西荻窪のジャズライブスポット『アケタの店』にいます。
ディープなアングラワールドにどっぷり浸っています。
何なんだろう、この緩〜い空気感は!

練習だか本番だかわからない緊張感のなさ。
客は4人。
MCもほとんどバンドの内輪だけの会話のような・・・・

癒されました(~~)
だからジャズって好きなんです。
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by maco4459 | 2010-08-07 21:27 | Comments(0)

パンルヴェ方程式を解く老画家

なぜ最近、絵を描くようになったのかというと、ある老画家との出会いがきっかけだ。

前から絵を描いてみたいと思ってはいたが、特別な教育を受けたわけではないので、素人が絵を描くことにためらいがあったのだ。

その老画家のアトリエを訪ねたのは年の瀬の夕方のことだった。
ドアを開けると彼はデッキチェアに半身に寝そべり、ベルギー製みたいな洒落た毛布を膝にかけて、なにやら分厚い本を読んでいた。

使い込んだパイプの紫煙を虚空に燻らせながら、その分厚い本に没頭し私に気付く風でもない。
『こんにちは』
私はやや声を高くしてもう一度声を掛けた。

彼は面倒くさそうにこちらに視線を向けた。
『やあ、キミか。ホントに訪ねて来るとは思わなかったよ、アハハ』
芸術家には変人が多いと言うが彼もやはり、その例に漏れないようだ。

私は絵に興味を持ってはいるが素人の自分が絵を描いていいものかどうか、率直に尋ねてみた。

『今、ボクが読んでいた本はこれなんだ』
彼が私に見せた革張りの装丁のその本の背表紙には『パンルヴェ方程式入門』と書いてあった。

『数学書ですか?』
『ああそうだ。2階の非線形常微分方程式の類のものだ。今から100年くらい前のものだな』
『絵を描くのに数学が何か関係があるのですか?』

『きのうウチに来た画商も同じことを聞いていたな』
老画家はニヤリと悪戯っぽく私に微笑んだ。

『ボクは数学の専門教育を受けてはいない。しかし、だからといってそれがこの本を読んではいけない理由にはならんだろう』
『はい。確かにそれはそうです』
『それがキミの質問に対するボクの答えだよ』

なにやら禅問答のようになってきた。

『よくわかりませんが、この本に書いてあることが理解できるのですか?』
『馬鹿言っちゃいけないよキミ。わかるわけないじゃないか』

やはりこの人はフツウじゃない。

「数学や物理も自然界の振る舞いを切り取って数式として表現したもの、絵も先生の心象風景を絵の具によって表現したもの、どちらも表現するというところに共通点があるのですね。方程式は理解できなくても数式を目で追うことで新たな表現方法のインスピレーションが降りてくるのを待っているのですね」

『昨日来た画商の男はこんなことを言ってたな』
『そうじゃないんですか?』
『あたりまえだ。そんな屁理屈こねくりまわしてるほど、ボクは暇じゃない。最近の若いヤツはすぐに関係性を探したがる。詰め込み教育の弊害だな』

彼は咥えていたパイプをマホガニーの座卓に静かに置き、私の方に正対した。
そして一言一言確かめるように語り始めた。
あたかも重要な定理を証明するかのように。

『よく好みの女のタイプを質問されることがあるだろう?』
『はい』
『キミは今街角で信号待ちしているとする。信号が青になって、向こうからいい女が歩いてきたら、果たしてキミは好みのタイプか自問して確認してから、その女に惚れるかい?』
『いえ』
私はとっさに首を振った。

彼はしたり顔で続けた。
『そうだろう。理屈が先にあるわけじゃない。君は絵を描きたくなった。そこに特別な理由を探さずとも良い。さらに誰かの許可を得る必要なんてない。やりたきゃやればいい。しかし間違っても図書館に行って絵の入門書を借りてきたり、専門の学校に行こうなんて馬鹿な考えを起こすんじゃないぞ。それと・・・・』
『何ですか?』
『まさかとは思うが、気違いの老いぼれ画家に絵を習おうなどと思っちゃいけないよ。絵の描き方に方程式は無いんだ。どうだ、数学者よりよっぽど数学的な答えだろう?』
彼は満面の笑みを浮かべて哄笑した。
『でも数学的ってどんな意味だろ?ボクにもわからんな、おい、キミはわかるかい?』

窓の外を見るともうすっかり暗くなっていた。
いつの間にか雪は止み、月が雪で降り固まった小径を煌々と照らしていた。
アトリエを後にする私の足取りはとても軽かった。

次の日、私はさっそくに画材店に絵の道具を買いに行った。

そういえば数学書を読む理由を聞くのを忘れていた。
『優雅なる暇つぶしだよキミ。まあ人生そのものが暇つぶしのようなものだがな』
あの老人ならこんな答えが返ってくるかも知れない。
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by maco4459 | 2010-04-25 21:09 | Comments(0)

究極の美・究極の技術

ヴィルジニー・デデューはフランスの元シンクロナイズドスイマー。
彼女のソロを初めて観たとき、究極とも言うべき、その芸術的な表現力に言葉を失うほどの感動を覚えた。
それを支える高度な技術も、無機質な機械仕掛けのようなものでなく、何か温かみを感じさせるような有機的なもの。
人間の持つ、喜び・憧れ・嘆き・哀しみ・怒り・・・
すべての感情が一つ一つの動作に凝縮されているかのようだ。
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             美しい。。。。。
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by maco4459 | 2008-12-07 00:26 | Comments(0)