一つの美術館が消えようとしている
その名は秋田県立美術館。
別名を平野政吉美術館という。
秋田市の再開発計画によってこの美術館は取り壊され、近隣に改築移転されることになっている。
ちなみに新美術館の設計は安藤忠雄氏が予定されている。
この消え行く秋田県立美術館の建物を惜しむ声が増えつつある。
なぜならばこの美術館は平野政吉と藤田嗣治の友情の証だからである。
知人の陶芸家・倉田鉄也氏も今日の地元紙朝刊に
寄稿していた。
藤田嗣治はフランスで一番有名な日本の洋画家。
平野と藤田は堅い友情で結ばれていたので、藤田のコレクションとしては国内有数の規模を誇る。
どの位置にどの絵を飾るか、平野は入念に考えたのだと言う。
秋田の美術教育の黎明期を支えたのもこの美術館だった。
この美術館は県内の作家が育つ土壌にもなった。
開館から10年以上も敷地内には『平野美術研究所』と呼ばれたプレハブ小屋があり、子供から
社会人まで美術を志す人々が集った。
その美術館が消えようとしている。
藤田嗣治『花の洗礼』